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それだけ言い置いてグレンは出ていく。
僕はしゃくりあげながら何とか涙を止めようと、何度も深呼吸をして気持ちを落ち着かせる努力をした。
トントンとドアをノックする音。次いで誰かが入ってきて、声を掛けられてそれがジムだと分かる。
ジムはベッドに腰掛けると、外に出ている頭を撫でてくれた。
「一夜、分かってるんでしょ?」
こくんと頷き、それでもまだ顔を出さない僕の頭を抱いて髪を梳くように撫でてくる。
あっ、これはジムの匂い。
淫魔であるジムは効率良く体液を摂取できるように人間を誘惑する匂いを持っている。
それは思いのままに操るかのごとく、相手を酩酊させて自分に体液を注がせる。
魔族であるグレンやロブには効かないが、半分人間の僕にはほろ酔い気分のように心地よいいざないになる。
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