番外編

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近づくにつれその人が男性であると背中越しに分かり、蹲る男性の隣にしゃがんで声を掛けたんだけど、振り向いたその人は凄く顔色が悪くて今にも倒れるんじゃないかってくらい血の気のないような顔をしていた。 「わっ、顔色悪いですよ!?熱中症かな……あっ、近くに自動販売機があったはずですから、今水買ってきますね!」 男性の顔色に驚いた僕は、本当に熱中症かも分からないのに自動販売機まで水を買いに走った。 あとから考えればあの顔色は熱中症じゃなかったんだと分かるけど、その時はそう思ってしまった。 ガコンと落ちた水のペットボトルを取りだし元来た道をまた走って戻る。 男性はさっきと同じ体勢で蹲ったまま動いていなかった。 「これ飲んで下さい。あそこに日陰がありますからあそこに行きましょう」 俄に頷いた男性を支えながら近くの日陰に移動し草の上に座らせる。ペットボトルの蓋を外してから差し出すと、男性はごくごくと喉をならし、半分まで一気に流し込んだ。
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