番外編

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「あの、ここですか?」 「はい、ここです。お礼にお茶でもいかがですか?」 まだ僕は返事をしていないのに、彼はどんどん敷地に入っていく。 でもそんなことより僕は驚いていた。 だってここ凄く不気味な洋館なんだもの。 何て言うのかな、鉄の門扉は錆び付いているのかギギィって音がするし、庭の花壇には植物が植えられていたんだろうけど枯れてるし、そして立派な洋館は薄汚れているような印象で、真夏の昼間だっていうのに何かちょっとひんやりする。 でも一番驚いたのは、すぐ近くだって言ってた距離。 あれ?何歩で来た?ってくらいの数百メートルの距離だった。 角を曲がればほらここですよ。みたいな。 軽くぽーっとなってる頭で彼に連れられ入ったお邸は、それはそれはやっぱり不気味で。 中は外よりもっとひんやりしてて、男性や女性の肖像画が何枚も壁に掛けられていた。
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