第3話

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『土方さ~ん』 「遅ぇ。今何時だと思ってんだてめー」 『す、すみませんちょっと色々バタバタしてたんで…汚物処理とか』 「なんだお前うんこしてたのか?そいつはわりーな急かしちまって」 なんてデリカシーのない男だ。年頃の娘に向かってうんこだなんて。 「まぁ入れ。ちょっと話がある」 てっきり顔を見るや否や殴られるとばかり思っていたが、何か色々と勝手に勘違いしてくれたお陰で殴られずに済んだようだ。 …あれ、でもこれだと普通に殴られてた方が良かったような。 『あのぉ私に話しって…?』 「まぁゆっくり話そうや。ほら茶でも淹れろよ」 『あ、私が淹れるんですね』 「ったりめーだろ。平社員の分際で上司に茶を淹れてもらおうなんざ100万年はえーんだよボケ」 『くぅ…』 ぐうの音もでない。本当に嫌な男だ。 土方十四郎。真撰組の副長であるこの男は頭もキレるが常に不機嫌というような状態でいつも何かにつけてキレている。 それなので部下たちからはいつの間にか【鬼の副長】と呼ばれているのだが、局長である近藤勲と互角に渡り合える唯一の存在だ。 いや、実際のところ真撰組を取り仕切っているのはこの男だと言ってもいい。 顔も良くて頭もキレる。だが残念なことにヘビースモーカーでもあり極度のマヨラーだ。 残念大賞なるものがあるならば私は迷わずこの男に与えるだろう。 「おいお前今なんか俺のことで失礼なこと考えたろ?」 『やだやだまた読心術ですか?なんですか?此処には思想の自由もありゃしないんですか?』 どうしてこうも私の心は読まれてばかりなんだろう。不思議なもんだ。
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