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『ァ痛ダダダダ!!すみませんすみませんから離して下さい!!痛いから!! 』
「嫌でィ。放してほしけりゃ俺の緑の袴を探して持ってきな。話はそこからでィ」
『それまで私はこうして頬を摘ままれたまま?!つーかさっきも言いましたけど自分の服ぐらい自分で管理して下さいよ!!私はあんたの母ちゃんか!!』
「馬鹿言っちゃいけねェや。俺の母ちゃんはこんな可哀想な顔面はしていやせん」
『なんだと!!』
「おーい杏奈ちゃ、…って隊長?何してるんですか?あれ?見廻りは?」
「今日は非番でィ」
「えっ隊長たしか昨日も一昨日も非番でしたよね?しかも本当は昨日も一昨日も非番じゃなくて結局ただのサボりだったらしいじゃないですか。副長から聞きましたよ」
『アンタ仕事を何だと思ってんだ』
「何言ってるんでさァ。たしかに今日も昨日も一昨日もバリバリ仕事だが、今日くらい休めと神様が言ってるような気がするなァ」
『やっぱ仕事なんじゃねーか!!誰だよコイツに隊長なんて役職与えたの!!仕事を舐めんな!!』
「…ま、まぁまぁ杏奈ちゃん落ち着いて」
この黒い服に身を包まれて私たちの前に颯爽と空から現れたのは密偵・潜入何でも御座れの監察、山崎退。
真撰組を影で動かしていると言っても過言ではないくらい情報収集に長けた男だ。
まぁなんというか、地味でパッとしなくて空気と同化してるような山崎さんだからこそできる仕事だとも言えるけども。
ーボカッ!!
『ァ痛ぁー!!!!ちょっと!!なに殴ってんだ山崎この野郎!!』
「あ…、ごめん。なんか失礼なことを言われたような気がして」
『お前も読心術?!…いや、それはそうと山崎さん、私に何か用があったんじゃないですか?』
「あ、そうそう忘れてた。今さっき副長に会ったんだけど何か杏奈ちゃんのこと探してたみたいだよ?もしかしてキミ副長から呼ばれてたんじゃない?」
『あ、やべ。』
忘れてた。
朝食の片付けが済んだらいの一番に副長室に来いと土方さんに言われてたんだった。
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