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最初は拒んでいたZENNも、そのうち、おとなしく目を閉じていた。
その上品な顔立ちは、呼吸を乱しながらも、快楽に溺れるという感じではなかった。
それよりも、むしろ汚されることを楽しみ始めたように見えた…
しかし、マリアには、それで彼を屈服させたというような手ごたえなど得られなかった。
それどころか、微笑んでこう言われた。
「マリア、たいしたサービスだな。何のおねだりだ? 」
マリアはあっけに取られたが、
「ずっと…ここに通わせていただきたいと…」
「それはお前の義務だろう。」
ZENNはシーツを肩まで引き被ると、
「マリア、雑誌の表紙に出てみたくないか?」
まったくもって、彼は突拍子もないことを言い出す男だった。
「まあ、俺の引立て役だがな。『ビジュアリズム』の、クリスマス号だ。俺が、なぜか天使の格好をすることになっているんだが、それだけじゃ面白くないだろう? 俺は、誰かを堕天使にして共演しようと思ってたんだ。それに、お前どうだ? 」
『ビジュアリズム』…ZENNを、ROSEをたたえるために創刊されたようなビジュアル系の雑誌に自分が…マリアはそのことだけで驚いていた。
「あの雑誌はインディーズに優しいけど、まだ表紙になったバンドはないはずだ。」
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