第5章

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 いつの間にか、夏は行っていた。  そんな寂しさを、マリアは由真と、部屋のベッドの上でかみしめていた。 いつになく厳しかった残暑も去り、明日からはまたツアーという日の昼下がりだった。 母のセカンド・カーを借りて近場をドライブをする約束だったのだが、私服に珍しくメークの由真はどことなく大人びて色っぽく、さらに最近のZENNとの夜も後ろめたくてつい、抱き寄せていたのである。 「来年の夏は、二人でどっか行こうな。」 「う…ん…」 珍しく由真の返事はあいまいだった。 「どうしたの? 」 「うん…来年、私、何してるかなあって…」 初めてマリアは気づき、恥ずかしくなった。 「そっか…由真、三年か…高校最後の夏だったんだ…ごめんね…」    今日の約束だって、日頃の由真の献身に感謝する意味だけだった。 「ううん、いいの。でも、なんか、毎日今年で最後ってことにはこだわってるって感じ。だから、マリア嫌かなって思ったけど、メークしてきちゃった。」 「嫌じゃないよ。」 続きは素肌の由真を背中から抱き締めながら囁いた。似合うよ、すげえ可愛い、と。
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