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れいなちゃんはダダーッとミサリに駆け寄ると、そのほっぺに軽くチューをした。
「お休みのチュッ☆」
寝るのか?
ミサリはすかさずれいなちゃんを抱きしめた。
「うふん♪ かわいい、れいな」
れいなちゃんもミサリにハグハグし返す。
「えっとね、ミサリちゃんもかわいいよ。それとね、きょうこちゃんも!」
一方のきょうこは呆れ顔だ。
「ミサリってさ、だれかれかまわずって感じだよね」
「ちゃう。きょうことれいなだけ? テツヤなんて、絶対イヤ」
「“なんて”呼ばわりですか」
「だってテツヤだし」
ひでえ言われよう。
「わたしに抱きしめてほしなんて、テツヤのくせに生意気!」
「言ってない」
しかも「テツヤのくせに」って、オレの存在全否定?
「ちょっとさー、いくらなんでも言い過ぎじゃない? わたしは、哲也君も悪く――」
「はーいはーい!」
ミサリの腕からするちと抜け出したれいなちゃんが、元気よく手を挙げた。
「えっとね、じゃあね、れいなが哲也君をギュッとしてあげる!」
「えっ?」
「はい?」
れいなちゃんはダダーッと駆け寄ってくると、そのまましがみついてこようとする。
「わわ、待った待った!」
そんな照れること、とてもできないって。れいなちゃん、無邪気すぎ。
「え? あのね……哲也君は、れいなのこと、嫌いかな?」
「も、もちろん好きさぁ!」
「よかった♪ じゃあね? ギュッとしていいよね?」
「それとこれとは話が別……」
「別じゃないよ? だってね? れいも、哲也君のこと、大好きだもん!」
「んん!?」
なんか今、サラッと爆弾発言したような……。と、油断してたらムギュ―ッとしがみつかれた。れいなちゃんのちっちゃな身体が、密着してくる。
「れ、れいなちゃん!?」
ああ、そんな嬉しそうな顔して抱きしめられたら、振りほどけないだろ……。
「あ……」
「ほーーーっお?」
きょうこは呆然。ミサリは冷たい目。
「えーっと……」
困った。どうしよう……。
恥ずかしさのあまり、顔が熱い。
まさかれいなちゃんはオレのことを……?いや、でも今の会話の流れからすると、どう考えてもラブではなくライクという意味の“好き”な気が……。
「わたしのれいなを奪うなんて……許せない!」
「いやいやいや……って、ええ?」
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