第1章

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 れいなちゃんはダダーッとミサリに駆け寄ると、そのほっぺに軽くチューをした。  「お休みのチュッ☆」  寝るのか?  ミサリはすかさずれいなちゃんを抱きしめた。  「うふん♪ かわいい、れいな」  れいなちゃんもミサリにハグハグし返す。  「えっとね、ミサリちゃんもかわいいよ。それとね、きょうこちゃんも!」  一方のきょうこは呆れ顔だ。  「ミサリってさ、だれかれかまわずって感じだよね」  「ちゃう。きょうことれいなだけ? テツヤなんて、絶対イヤ」  「“なんて”呼ばわりですか」  「だってテツヤだし」  ひでえ言われよう。  「わたしに抱きしめてほしなんて、テツヤのくせに生意気!」  「言ってない」  しかも「テツヤのくせに」って、オレの存在全否定?  「ちょっとさー、いくらなんでも言い過ぎじゃない? わたしは、哲也君も悪く――」  「はーいはーい!」  ミサリの腕からするちと抜け出したれいなちゃんが、元気よく手を挙げた。  「えっとね、じゃあね、れいなが哲也君をギュッとしてあげる!」  「えっ?」  「はい?」  れいなちゃんはダダーッと駆け寄ってくると、そのまましがみついてこようとする。  「わわ、待った待った!」  そんな照れること、とてもできないって。れいなちゃん、無邪気すぎ。  「え? あのね……哲也君は、れいなのこと、嫌いかな?」  「も、もちろん好きさぁ!」  「よかった♪ じゃあね? ギュッとしていいよね?」  「それとこれとは話が別……」  「別じゃないよ? だってね? れいも、哲也君のこと、大好きだもん!」  「んん!?」  なんか今、サラッと爆弾発言したような……。と、油断してたらムギュ―ッとしがみつかれた。れいなちゃんのちっちゃな身体が、密着してくる。  「れ、れいなちゃん!?」  ああ、そんな嬉しそうな顔して抱きしめられたら、振りほどけないだろ……。  「あ……」  「ほーーーっお?」  きょうこは呆然。ミサリは冷たい目。  「えーっと……」  困った。どうしよう……。  恥ずかしさのあまり、顔が熱い。  まさかれいなちゃんはオレのことを……?いや、でも今の会話の流れからすると、どう考えてもラブではなくライクという意味の“好き”な気が……。  「わたしのれいなを奪うなんて……許せない!」  「いやいやいや……って、ええ?」
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