第1章

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 どうすりゃいいんだ?  「きょうこ、助けて……」  「えっと……い、いいんじゃない? けっこうお似合い……かも」  「そうやって茶化すし……」  「哲也君哲也君!」  オレから離れたれいなちゃんは、手を差し出してきた。  「はい!」  握手しろということらしい。  訳も分からず手を握る。  「れいな、嬉しい!」  「あー、そ、そう。そりゃよかった……ははは」  結局、なんだったんだ?  なんだかドタバタのうちに、お茶会は終了した。  昨日、確かに感じた一体感。  自分の居場所はここにあると感じた。  このかけがえのない絆が永遠に続いてくと、素直に信じることができたはずだった。でも……。もうすでにこのとき、4人の絆という歯車は、少しずつ狂い始めていたんだ……。  「早く早く!」  朝っぱらかられいなちゃんの秘密サークルに付き合わされるオレ。朝の7時に叩き起こされたら、そりゃあ付き合わざるを得ないよな。  「ほらね? 桜のつぼみだよ? もうすぐ咲きそうだね。春になりそうな秘密の予感だね!」  なんて天真爛漫。ホント、なごむ。でも……。どうしても、れいなちゃんの昨日の発言を意識してしまう。  「れいなも、哲也君のこと、大好きだもん!」  大好き、か……。  れいなちゃんはオレの手を握ったまま話そうとしない。 まあ、別に無理に話す必要なんてないんだけど。きっとれいなちゃんは、特に深い理由もなく手を繋いでるに過ぎないだろうから。  れいなちゃんは、オレと繋いだ手をブンブンと振り回しながら歩いていく。子どもみたいだけど、楽しそうだ。れいなちゃんが楽しんでるなら、それでいい。無粋なことはしないでおこう。  桜のつぼみは、確かに今にも咲き出しそうにぷっくりとふくらんでいた。それを、れいなちゃんと手を繋いで見上げる。れいなちゃんは目を輝かせている。春の訪れの気配を感じ取っているんだろうか。そんな些細なことで感動できるなんて、れいなちゃんはホントに純粋だなァ。  柔らかな風が吹いて。れいなちゃんの髪とリボンが揺れる。  穏やかな朝。こういうのもありだって思っている自分。  「れいなちゃんは、春が好きなんだ?」  「夏も秋も冬も好き! ぜ~んぶ好きなんだよ」  「そっか。好き嫌いはしないもんな」  「うん!」  また風が吹いて、オレの髪をあおる。風があるのは、春になった証拠だ。
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