第1章

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そしてまた俺は一人になる。 元の自分の席には戻らず窓から見える校庭を見れば、省吾がグランドを突っ切って体育教諭室に向かっていくのが見えた。 吉と出るか、凶とでるか。 矢野が今までどういうつもりで省吾と付き合っていたのかは知らないし、知りたくもない。 俺は今まで理解ある幼馴染みをやってきただけだから二人の間には深くは介入しなかった。 一定の距離感を持って、踏み込めるラインを引いて省吾を守ってきたつもりだ。 初めて後押しをした今の気持ちの嫌な気分がなんとも言えない。 もし、矢野がこのまま省吾との関係を続けるようなら俺はまだ教室で待たなければならないだろうなぁと思った。 もし、省吾が早く帰ってきたなら俺はなんて言って迎えようか? 『よく出来ました』……かな? 三月の青空と暖かい気温を肌で感じて、もうすぐ春が来ると感じる。 早くに咲いた校庭の桜の蕾を見て、俺はしばらく先の未来の構想を一人練るのだった。 おわり
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