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…………──ナッちゃん!置いていかないでよ!…………
幼い頃の省吾の泣き顔とだぶって胸を締め付けられ、俺は思わず引き寄せるとその体を抱き締めた。
「……俺っ……俺っ……どうしたらいい?」
いつも斜に構えて人をおちょくってきた省吾の仮面は外れ、昔のヘタレ泣き虫の省吾の顔で俺にすがってくる。
「……もうお前、矢野のことは諦めろ……!」
「っ……だって、……だって……!
好きなんだよ……っ?!」
泣きじゃくりながら今もなお矢野への想いを絶ちきれない省吾の口を俺は自分から塞いだ。
唇を割り開いて舌を差し込めば、いつも俺様気取りで自分勝手なキスをする省吾らしかぬ弱気な態度に俺は強引に迫る。
自分からしたのは初めてかもしれない。
慰めのようなキスは何度もしてきたのにな……。
それを思い出せば切ないほど胸が痛かった。
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