第1章

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省吾の諸事情を知る山田には意味がわかっていて、でもそれは敢えて口には出さない。 そして俺も何も言わない。 お口にチャックだ。 「で?俺に何用だ?」と聞けば、卒業記念品を部からくれるということで、持ってきてくれたらしい。 「小野先輩、卒業おめでとうございます。」と三島に言われたから、プレゼントを受け取って、 「あ、サンキュー」 といえば、見ていた橋口が「軽いなぁ……」とぼやく。 「先輩、東京の大学に行くんですよね?凄いですね!」 と言われ、「ま、三流だから~。」と俺は笑って返した。 別に東京じゃなくても良かったんだけど、今までの生活を代えるために適当に選んだに過ぎない。 「こっちに帰ってきたら連絡してくださいよ。野球しましょ!」 キラキラ瞳を輝かせて見返す、三島の眩しい球児の光を見て俺は苦笑した。
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