第1章

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「見送りに決まってるじゃん。」 「これのどこが見送りになるのか聞いてみたいもんだな。 どう考えても俺を襲いに来たとしか思えないんだが?」 未だ開いた足を腰に絡ませたまま俺にぶら下がっているやつにそう返したら、省吾は幼き頃を思い出す顔で頬をぷくっと膨らませて言った。 「だってさ、お前もうすぐいなくなっちゃうのに……俺に……何もしてくれないから……辛いじゃん?」 (何その素直すぎるモロ出し発言。人の気も知らないでこのバカタレが。) 何気なく発せられたそのセリフは、俺に『どうにかしろ』と催促しているように聞こえてならない。 いや、多分そういうことを言ってるんだ、と俺も実はわかっていて。 敢えて今日まで事を避けて来たことに今になって省吾に突きつけられ俺が一人わたついているだけに過ぎない。 「なんでキスしかしてくんねぇの?」 充分すれてきてるはずなのに瞳がまっすぐで澄んで綺麗すぎるとか反則だろ。
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