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「あの時、俺に言った言葉は嘘だったんだ。」
──『お前には俺がずっとついているから。だから俺と……』──
「嘘じゃねぇよ……。」
「じゃあなんで夏輝からキスしてくんねぇの?」
スッと落とされた視線が寂しげに見える。
「んなの、簡単に出来るかよ。」
「……ホントは俺に合わせて無理してんじゃないのか?」
「は?」
どこか拗ねた態度の省吾を見おろすと、
「お前元々はノーマルだろ。」
と言った顔はツーンとしていた。
「この状況でそういう事聞くか?お前は。」
(クソガキめ。)
さっきからテメェのも俺のも当たってんだろうが。それだけで察しろよバカ。
「俺、夏輝とエッチしたい。離れる前にエッチしたい。」
「何その女子のような『卒業前に私の処女あげます』的なセリフ。しかもお前二回も言ったな。」
場の雰囲気をまぜ返して言えば、
「はぐらかすなよ。」
と間髪入れずとどめを刺された。
「………。」
こりゃ逃げてんのバレてるな。
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