第1章

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下から見上げられた艶やかな瞳が眼鏡の奥で 妖しく光って、いつもより色気が増してみえる。 「ドキドキする?」 口角があがると薄い唇が弛くカーブを描き、そこからからかうような台詞を吐くと省吾が悪戯に笑う。 「しねぇよ、今さら。」 「嘘。ホントに?」 そう俺に返すと突然省吾は抱きついてきて。 俺の胸に耳を押し当てるから不意討ちをくらった。 「ドッドッドッ、って言ってるけど。ちょっと鼓動が早いよ?」 「お前がびっくりさせるからだってぇの。」 動揺してないと言い訳をすると、省吾は楽しそうに含み笑いをした。 「夏輝、面白い。」 「面白くねぇよ。ほれ、離れて……。」 「キスして、夏輝。」 俺の言った事は無視して、省吾は「ん」と目を閉じると顔を突き付けてくる。 その薄い唇を目の当たりにして俺は断る理由もなかったからそこにそっと唇を合わせた。
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