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意味ありげに笑う編集長をひと睨みして、取材に出かけた。
午後のオフィス街に照る陽射しは、もうすっかり秋のもの。
あの焼けつくような夏の太陽とは、また違う。
「わたしも、違うのかな」
夏のわたし。
秋のわたし。
「何か言いましたか?」
わたしの顔を覗き込むように、背の高い彼が身体を曲げる。
「祐輔君はさ、イメチェンとかしないの?」
「イメチェンですか?」
「そう。メガネとか。コンタクトにしたり・・・」
言いながら彼の綺麗な顔を、じっと見つめる。
「ね、どうしてメガネ掛けると瞳が小さくなるの?」
メガネを外した彼の瞳は、結構パッチリ大きなものだ。
睫毛もバサバサだし。
コンタクトにしたら、かなりモテそう・・・
「強度近視だからです。凹レンズはものが収縮して見えますから」
取材用の車に乗り込みながら、説明してくれる。
エンジンキーを彼が回すのを確認してから、祐輔君の方に身を乗り出す。
「ね、メガネ外しても良い?」
わたしの言葉に、少し瞳を見開いて。
「・・・良いですよ」
そう言いながら、瞼を伏せて顔を向けた。
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