1-約束を覚えていますか?

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「んー。今日もいい朝ね!」   あたしは空を眺めながら背伸びをした。 胸いっぱいに新鮮な空気が入ってくる。 一日の中で、あたしはこの時間が一番好き。 どんなにつらくても、お天道様は昇ってくる。 新しい朝は、まるで希望のようだから。 「おはよう、姉さん」   家の中から声が聞こえた。 慌ててが振り返ると、声の主は弟だった。 弟の名は浪嵐(ろうらん)。 あたし達がこの地に来たのは7年前の冬のことだった。 それよりも前のことを、この地の誰も知らない。 「おはよう、浪嵐。 昨日は遅かったのに、もう行くの?」   浪嵐は今年で17になる。 もう立派な大人だ。 しかし、その体つきは年にあわず華奢なもの。 それもまともな食事もできないこの環境のせいだ、とあたしは何度も自分を責めた。 彼の動かない左手も、あたしを苦しめるのに十分だった。 あたしがいなければ、弟がこんな傷を負うこともなかった、とそう思うこともあった。
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