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私は松本さんの優しさに涙が溢れて、赤信号で止まった際に松本さんは、後ろに手を伸ばしティッシュ箱を取り私の膝の上に置いた。『よく泣くわねぇ(笑)』
『涙が勝手に…』
『猫ちゃんに【噛みなさいよ】ってあたしに言ったあの威勢の良さは何処にいったのかしら。泣き虫のあなたが本当?』
『どっちが私らしいのか、よくわからなくて』
『まぁあの女子の顔見ればわからなくもないわ』
『松本さんも負けてなかったです、かっこよかったです』
『あらまぁ、言ってくれるわね』
したり顔の松本さんはフフッと笑った。
『あのアイディアは松本さんが?』
『ナイスアイディアでしょ(笑)あの様子じゃ長くはないわね(笑)働くって事甘く観るんじゃないわよってね』
『ナイスなアイディアです…ありがとうございました』
『あたしってやり手かしら(笑)』
かっこ良い…
松本さんの強さが羨ましかった…
そんな私なら頼まれ掃除も断れるのに…
目的地に着きその話は中断した。店内は大きな書店らしく1階は雑誌・書籍、2階はコミック、3階は文房具と書いてありかなりな賑わいだ。
『気分直しに好きな雑誌を見てなさい、私は服飾関係とインテリア雑誌が見たいから』
そう言って松本さんは売り場に向かうが、私も後をついて行く。
『あら、美和ちゃんも?』『気になって…』
2人並んでインテリア雑誌を見ていたが、松本さんはよりグレードアップしたプロ仕様の雑誌を見ては頷いて手にしていた。
スタイリストならではの松本さんの顔に変わった。
ひとかかえ雑誌を持ち、私の方を見る。
『インテリア興味あるの?』
『最近気になって…』
泣き顔から一変し目をきらめかせ立ち読みする私を、松本さんは何かを見抜いていたのかもしれない…ーーー。
↓
それは私も後々知る事になるとは知るよしもなかった。
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