《第2部・第1章》

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私は松本さんの優しさに涙が溢れて、赤信号で止まった際に松本さんは、後ろに手を伸ばしティッシュ箱を取り私の膝の上に置いた。『よく泣くわねぇ(笑)』 『涙が勝手に…』 『猫ちゃんに【噛みなさいよ】ってあたしに言ったあの威勢の良さは何処にいったのかしら。泣き虫のあなたが本当?』 『どっちが私らしいのか、よくわからなくて』 『まぁあの女子の顔見ればわからなくもないわ』 『松本さんも負けてなかったです、かっこよかったです』 『あらまぁ、言ってくれるわね』 したり顔の松本さんはフフッと笑った。 『あのアイディアは松本さんが?』 『ナイスアイディアでしょ(笑)あの様子じゃ長くはないわね(笑)働くって事甘く観るんじゃないわよってね』 『ナイスなアイディアです…ありがとうございました』 『あたしってやり手かしら(笑)』 かっこ良い… 松本さんの強さが羨ましかった… そんな私なら頼まれ掃除も断れるのに… 目的地に着きその話は中断した。店内は大きな書店らしく1階は雑誌・書籍、2階はコミック、3階は文房具と書いてありかなりな賑わいだ。 『気分直しに好きな雑誌を見てなさい、私は服飾関係とインテリア雑誌が見たいから』 そう言って松本さんは売り場に向かうが、私も後をついて行く。 『あら、美和ちゃんも?』『気になって…』 2人並んでインテリア雑誌を見ていたが、松本さんはよりグレードアップしたプロ仕様の雑誌を見ては頷いて手にしていた。 スタイリストならではの松本さんの顔に変わった。 ひとかかえ雑誌を持ち、私の方を見る。 『インテリア興味あるの?』 『最近気になって…』 泣き顔から一変し目をきらめかせ立ち読みする私を、松本さんは何かを見抜いていたのかもしれない…ーーー。 ↓ それは私も後々知る事になるとは知るよしもなかった。
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