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ミロが目をきらめかせ耳とヒゲを台所の鍋に向け、ガス台近くで前足をキッチンのドアにあてがい体を長くする。菊地さんが大量のダシが入った鍋を傾け、流しの別の鍋に入れるとモアッと湯気がたつ。すぐさま、それを加熱させてく。
菊地さんが挨拶をし椅子に座るよう促す。ミロは相変わらず鍋近くに長くなってにおいをかいでいた。
『ミロったら恥ずかし過ぎるっ』
ミロを見て私は顔を赤くしうつむいた。
『相変わらずあなたって、かたくなねぇ。それに比べて猫ちゃんの素直な事』
『恥ずかし過ぎますっ!いきなり人の家の台所に居座って…飼い主の私が恥ずかしい』
出る前、かつおぶしのにおいにソワソワしてたから連れてきたけど後悔している私。
『ミロやめなさい』
菊地さんは醤油を鍋に入れながら笑って言った。
『邪魔してるわけじゃありませんから大丈夫ですよ、友達が猫を飼っていて僕も猫には慣れてますから』
『すみません』
『それよりか食べてってくださいよ。この間は吉井さんだけ食べずに帰っていってしまわれたから』
あぁ、ミロが初めてこの部屋の窓枠にぶら下がった日…。私ってそんなにかたくなかな?
『美和ちゃん、悩み事?』と言う佐々木さんに苦笑しまたうつむいた。
『まぁ思春期だから恋の悩みもあるのよ』
と藤永さん、放課後デートを夢見てた現実ははるかに違う。男子の友達さえいない。
私の思考を破るようにパンッと肩を叩かれ顔をあげる私に、松本さんがまたポンポンと私の肩を今度は軽く叩きこう言った。
『菊地さん見てみなさいよ(笑)格好までうどん職人よ。普段はスーツ着て好青年っぽくて、おとなしめなのに、なに?この弾けよう(笑)』
みりんを入れ振り向いて、『僕、うどんが好きなんで食べてもらう事に力入るんです(笑)』
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