《第2部・第1章》

17/31

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
週が明ければまた学校に行かなくちゃいけない。 当たり前じゃない頼まれ掃除当番をやり過ごす放課後が続いた。事情を知ってるお母さんは先生に言いたくて仕方ない様子だけど…言って変わるとは思えず、私が『もう少しもう少し様子を見るから』ってストップをかけてるんだけど… 頼む人達の中の、特に、目だちめ女子らは休み時間何やらバイトの話をしているようだ。 『彼氏の誕生日が近いからバイトしてアクセをプレゼントすんの』 『えーっ、バイトぉ』 『うちの学校バイト禁止じゃなかったじゃん』 『あんたが、働いてる姿想像出来ねぇし』 『想像出来るか出来ないか、一緒にバイトしようよ』『もちろん短期だよね?ずっと…なんて勘弁だからね~』 クラスに聞こえても良いような内緒話じゃない、みたいな大きな声で笑いながら喋ってる。たしかに私も想像出来ないな… あの2人達が何処をバイトに選んだか、後日私は知る事になる。 とある夕方…帰ってミロにカリカリをあげていた時に玄関のチャイムが鳴った。制服姿のまま出ると藤永さんが立っていた。 『漫研って言ってたから、インクないかと思って』 漫画家ならあるだろうに?と思っていると藤永さんは苦笑しこう言った。 『買ったばかりのインク丸々全部こぼしちゃって、締め切り近いのに買いに行く時間すら惜しくてさ』 『そういう事~』 幸いにインクは私も買ったばかりだし、漫研の冊子原稿はやっと仕上げたばかりだから、ペン入れ等はまだまだ先の話だから。 部屋に上がり新品のインクが入った箱を渡すと喜んで『原稿上がったらケーキ食べにきてね』と良い帰っていった。 2~3日後の夕方藤永さんが新品のインクを持ってきてこう言った。 『明日、土曜日だしちょうど良いかと思って。ケーキ買うから学校終わったら来てね』とお誘いに。 何故?ケーキ? 『あたし原稿上げたら自分にご褒美ケーキ買ってんの』…だそうだ。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加