《第2部・第1章》

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私はいちごタルトを食べオレンジジュースを飲んだら…掃除を手伝うつもりで制服の上着を脱いで側にたたんだ。藤永さんも食べ終わったらしく『はーっ満足っ!』と手を上に上げたと思ったら、そのままゴロンと横になった。 『写真っていつ必要なんですか?今からでも掃除手伝いますよ』 私はブラウスの袖口を腕まくりしながら聞いてみた。『来週の(水)くらいかなぁ、手伝ってくれるの?本当に?』 『お世話になってるし』 『お世話ってあたしも美和ちゃんにインク借りたんだよ』 『暇だし』 『そう?じゃ本当にお願いしようかな』 私がケーキ皿とグラスを持つと『ケーキの皿などは流しに置いて置いて』って事らしい。 『制服が汚れるから』ってスエットの上下を出そうとする藤永さんに断って『すぐ隣だから』って着替えに家に戻った。 『美和、早いな』 『ううん、また行くの。成り行きから掃除する事になって、遅くなるかもしれないから』 『お母さんから聞いたけど、当番でもない日に掃除頼まれるそうじゃないか。それなのに、また美和は学校以外のところでも掃除をしようというのか?』 『私もわかんないけど頼まれ掃除は嫌々してるけど、藤永さんのは私から手伝いますって言ったんだ。私の意思』 『藤永さんは良い人だとは思うけど、そこまで美和がやってやる必要はないぞ』『嫌だったらもうやんないから』 そんな会話をし私はごみ袋と紙袋を持って家を後にした。 お父さんの言うとうり…学校以外のところで掃除ってやんなくて良いはずなのに《私の意思》って言っちゃって… 友達なら友達の為に頑張るけど、藤永さんは数えるくらいしか会っていない… 私の意思って?… 自問自答しながら結局答えは出ずに藤永さんの部屋のチャイムを押す。
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