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『まぁまぁ、すみませんね』
『私も前をよく見てなかったからいけないんです』
『この子が行きなり走り出すから…謝りなさい』
車内から『ごめんなさい』と小さな声がした。私は慌てて『お姉ちゃんも悪かったんだから』と小学生の低学年らしき男の子に言う私。『お金、お金』と財布から小銭を出す様子に私は遠慮して手を横にふった。
結局、『良いから』って私の手にポテト代を渡して車を出してく。
マクドに行く原因はコレだったのだった。ぶつかったはずみに男の子の手からポテトが落ちて…っていう経緯ね。
ティーンズに入って眺める予定もなしにして、私は薄暗くなった道を歩き始めた。
車のクラクションがなり、私の前で止まり助手席のドアがあき、藤永さんが『乗ってく?』と笑った。
笑顔…この笑顔は嘘じゃない…マンションの人達の笑顔は本物なんだ…
私を見た瞬間、《何しにきた!》っていうめんどくさそうな嘘笑いだとわかっているから…
《うぜぇ》そんな顔をし笑顔どころか睨みまであるそんな顔を見ただけに、私は藤永さんの笑顔に涙をこらえ前を見ていた。
『どうしたの?元気ないけど?』首をふる。
『担当がきて部屋のごみがないのにビックリしてたよ、美和ちゃんのおかげ(笑)担当に卒業アルバム渡したよ、美和ちゃん…どうしたの?』無言で首をふる私、喋ったら泣きそうで黙るしかない私。
家の前でおろしてくれてクラクションひとつ鳴らしてマンションに入ってく。
私は感謝を込めてマンションの方を眺め落ちる涙をふいた。
ミロにカリカリをあげて、泣き顔を見られたくなくて私は風呂に入り顔をよく洗った。
夕食後…部屋で布団に丸くなってるとメールがきた。
『藤永さんが心配してるわよ、何かあった?』
メールを見てまた私は声を出さずに泣いて…返信は返す事が出来なかった。
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