《第2部・第1章》

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次の日、4時間目の社会の授業が終わり…世界地図を日直は3階の資料室に持っていかなければいけない。私とクラスの男子2人は大きな世界地図を丸め片方ずつ持ったが…『めんどくせぇな』と投げやりだから手が滑って世界地図は床に落ちて、巻いた地図が広がった。 2人同時に地図に手を出し手がふれ合うと男子は手を引っ込めながらこう言う。『吉井の手、ガッサガサじゃーん(笑)』 恥ずかしさに赤くなりながら1人で地図を丸め抱え…ヨタヨタと歩き始めた。 はぁ…荒い息をしながらやっと2階に通じる階段を上がりひと休みしてたその時、笑いながら友達と話す荒井先輩が降りてきた。 『吉井さん大丈夫?また世界地図って大きくてかさ張るから…男子でも運ぶの嫌がるのに』 『荒井先輩…こんにちは』息を整えながら言う私、地図を持ち直した。 『漫研の後輩、放っとけないから運ぶわ。松井先に購買でパン、キープしてて』『女の子1人で可哀想にな、任せなさい。お前の好きなパンはキープしとくから』 口を噛みしめ涙を我慢して『ありがとうございます』と言う私に、荒井先輩は笑って地図を半分持ってくれた。 『クラスの男子は途中から《めんどくせぇ》ってやらなかったのに…先輩どうして…』 『ん~…要は個人個人の物の見方かもしれないね…俺も基本的にお人好しだから手伝うけど、手伝って損はないでしょ』 『先輩…』 『泣かない泣かない、ほら、貸して』 【手伝って損はない】の言葉に涙が落ちた。 資料室に入り指定の置き場所に地図を置き私のも受け取り置いてくれた先輩。その時に手が触れたのか先輩はこうも言う。 『手が荒れてるね、女子からハンドクリーム借りてこよう』って… からかわないんだ…先輩は… そして、本屋の店員さんも… 『先輩、私、ハンドクリーム持ってます。ただ掃除のし過ぎで潤いが追いつかないだけ』と付け加えまた涙が落ちた。 『無理しない無理しない、泣いて良いし…遅れた分の延長は考え直さないとな』 じゃっ…と言い階段を降りてく先輩に頭を下げたままの私だった。 頼まれ掃除もあったけど、荒井先輩の提案で遅れた分の延長はなしになった。
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