《第2部・第1章》

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朝… 私が学校に出かけようとしていたら…お母さんが菓子折りを持って私と一緒に出ようとしていた。 『どこへ?』 『松本さんよ、美和がお世話になったでしょ』 『何?それ』 『昨日買ってきたのよ、クッキー』 私はマンションとは逆の方へ、お母さんはマンションの方へ…と歩いてく。 今日は本来の掃除当番だから少し気が楽…掃除を頼まれる瞬間の→放課後の嫌な緊張感を味わわなくて済むからサッサと済ませちゃえば良い。 漫研の時間はホッとする。『いけないっ』原稿用紙が少しだけ足りない。 みんなと同じように帰り支度をし、バスに乗る。 漫画は専用の原稿用紙に描かなくてはいけなくて、私は馴染みの画材店に寄り道をする。 『ないっ』 あいにく売り切れ状態で私はガックリ肩を落とし店を出た。隣の街にあるかなぁ…。 バスに乗り一度行った事がある画材店に行くと臨時休業だった。周りの画材を探し歩く内に迷ってしまったっ!どうしよう…― 見上げるといつの間にか薄暗く…サラリーマンらしい人達が旨い店はないかと居酒屋を見てまわってる。会社帰りのOLも向こうで喋りながらお好み焼き屋さんに入ってく。制服を着た高校生は足早に通り過ぎる。 どうやら画材のある本通りから外れて飲食店街に迷いこんだらしい。隣の街も限られた場所しか知らないし…ましてや飲食店街なんて馴染みがないっ…―! 途方に暮れて立ち尽くす私…避けてく人がいるかと思えば、ぶつかって舌打ちしながら歩く人。 仕方ない…戻ろう、と振り向くと男性にぶつかった!『危ねぇじゃねえか!』 『す、すみませんっっ』 『高校生か?ガキがっ』 青い上着を捕まれひっくり返りそうになる私…この人お酒くさい!?誰か…― 『警察が来るわよ、良いのかしら!?』
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