《第2部・第1章》

8/31

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
酒くさい男性は【警察が来るわよ】の叫び声に反応し美和を突飛ばし、ヨロヨロしながら人とぶつかりながら全速力で走り去った。 警察!?私ヤバくない? 突飛ばされ道路に手をついて情けない私だけど…補導されやしないかと心配した(焦)。 『こんなところでウロウロしてちゃさっきみたいな目に遇うわよ』 『!!』 顔をあげると松本さんだった。嫌いとはいえ…助けてもらってホッとしたーーー。 『松本さん…』 『画材店の向こうにいたらあなたを見つけてつけてきたのよ。…ったく、危なっかしいっ!バカじゃないの?あなた』 『バカバカって言わなくても…―』 『さぁ、立って。帰るわよ』 松本さんは私に手を差しのべ…差し出した手をきゅっと握ってくれた。 『画材店よりかハンドクリーム買った方が良いじゃない?あれてるわよ』 『(恥)持ってます、だけど掃除ばかりしてるとこんなカサカサになるんです』 松本さんの手から手を離そうとした… 『迷子になりたいのなら別に構わないけど?』 仕方なく私は松本さんの手を握りかえす。 本通り近くに駐車場があったなんて知らなかった。料金カードを入れ清算し…車に行き手招きする松本さん。この車に乗るのも2度目になる…2度ある事は…もう1回私はこの車に乗るのだろうか。 駐車場から器用なハンドルさばきで国道に出て渋滞の中に入ると…松本さんは車のホルダーから私にオレンジジュースをくれた。 『画材店…何がいるの?』『原稿用紙少し足りなくて』 『となりの藤永さんが漫画家だから持ってるんじゃないの?』 『そんな…悪いです』 『画材店…原稿用紙売り切れだったんじゃないの?当たりよね。買えてたらすぐ帰るつもりだったんでしょうに』 『あっ(焦)そういえば…警察を呼んでもらってすみません』 『嘘よ(笑)あの酒くさい男とケンカしても良いけど…あたしの顔にキズをつけたくないから(笑)要は頭を使わなくちゃ(笑)』 『嘘っ?』 『そう』 頭の回転が速い人なんだと感心する…― 『あり、ありがとうございました』 『この間といい、あなたって危なっかしいのよ。たまたまあたしが助けてあげたから良いものを…あんなとこで夜歩くんじゃないわよ』 恥ずかしさ、悔しさ、だけど感謝…感情が交差する。けどあの状態だから…感謝かもしれない。 『ありがとうございました』 『あなたは危なっかしいのよね(苦笑)』
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加