第1話

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「だいたい気にしすぎなんだよ。どのくらい偉いとか、肩書きなんてそこまで大事なことじゃなくない?」 俺が対人する際に気にすることを否定にかかる雄士に反論する。 「その人が今までどんな評価を受け、どれだけ慕われているかがわかる大事な項目事項の一つなんだよ」 他人から見たその人も大事ではある。 が、最も、当人の考え方やその人がどんな感性を持っているかが何より重視する項目だ。 「そんなん気にしてて疲れない?」 「別に」 理解できないというような顔をされるが気にしない。慣れている。 これが俺の普通。人にどうこう言われる筋合いはない。 雄士は俺がそう思っていることを理解している。性格的な面では合致する部分なんてないに等しいが、ただ理解できないというだけで、俺が考えること、感じることを否定することはない。 だから雄士の隣で気分を害すことは皆無に近い。 言いたいことがあると言えば、少々タラシで、奴が歯の浮くような台詞を息をするように吐く度に悪寒に苛まれ、無駄に顔が広いせいで何処へ行っても声を掛けられるために実に耳障りで不愉快だということだけだ。
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