プロローグ

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「てことだから、行くぞ」 「ちょ、おい」 雄士(ゆうじ)に腕を引っ張られ、引き摺られながら電車から下ろされる。 腕を掴んだまま改札を抜けようとするこの男を振り払おうとするが、筋肉のついた逞しい腕を見て諦めた。 改札を出て歩くこと約7分。 住宅街の脇に佇む木造二階建ての館。入り口付近、白塗りの壁に掛けられた焦げ茶色の板には白い字で 『aki cafeteria』 そう書かれていた。 その看板に少し眉を潜めた俺を置き去りに、雄士はドアを開ける。仕方なく後に続くと、暖かい空気がふわりと体を覆った。 店内に目を遣ると、その男はいた───
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