第1話

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「俺いつもの。お前は?」 店内の様子に目を向けたまま呆けていた俺に雄士が声をかける。 「何があるの」 はい、とラミネートされた手書きのシンプルなメニューが前から出てきた。 雄士に聞いたのに、と思いながら、不本意にもお礼を言って受け取る。 (綺麗な字だ…こいつが書いたのか…?) と、その中の一つに目が止まる。 「これで」 指し示した先のそれを見た門井は切れ長の目を見開いた。 「へぇー、ブラックとか飲みそうなのに」 「コーヒーでしょ?わかる。でもこいつ、苦いの得意じゃないらしいよ」 意外だと漏らす門井に雄士が余計なひと言を放った。
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