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「俺いつもの。お前は?」
店内の様子に目を向けたまま呆けていた俺に雄士が声をかける。
「何があるの」
はい、とラミネートされた手書きのシンプルなメニューが前から出てきた。
雄士に聞いたのに、と思いながら、不本意にもお礼を言って受け取る。
(綺麗な字だ…こいつが書いたのか…?)
と、その中の一つに目が止まる。
「これで」
指し示した先のそれを見た門井は切れ長の目を見開いた。
「へぇー、ブラックとか飲みそうなのに」
「コーヒーでしょ?わかる。でもこいつ、苦いの得意じゃないらしいよ」
意外だと漏らす門井に雄士が余計なひと言を放った。
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