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「夢じゃないみたいだな」
声がした方を振り向けば、目を覚ました沖田総司がベッドの上で呆然と天井を眺めていた。
「みたいですね」
振り返れば沖田総司がいる。
やっぱり夢じゃない。
「まぁ、そんな顔をしなさんな。私は江戸に帰るまで、この時代を楽しく生きるよ」
そんな笑顔で言われても…。
見かけによらず、すごく陽気な人だ。
と言うことは…
「へっ??ここに住むんですか?」
「うん。子供好きだし」
はぁ!?
家に住むとか、どうとかは置いておいて。
「子供って私のこと!?」
「うん」
「子供じゃないもん!」
年頃のレディーに何てことを。
「子供じゃないのか?では、其方はいくつなんだい?」
普通女性に歳を聞くか?
「14歳です…」
「ほう、もうすぐで成人ではないか。それは失礼。でも、10歳も年下ではないか」
沖田総司は24歳なんだ…
えっ!?
待って、確か沖田総司は25歳の7月に死亡したって参考書に書いてあった気がする。
と言うことは一年後にはもしかしたら死んでしまうの?
「あの、私沖田さんが江戸に帰れる方法頑張って探します!」
咄嗟に言葉が出る。
沖田さんは、ははっと笑った。
「ありがとう。それと、君がここの世界に連れて行ってくれたおかげで、あまり体調が悪くないみたいだ。なるべくなら江戸に帰りたくないなぁ」
沖田は優しくそう言った。
「えっ!?」
「冗談。冗談。本気にしなさんな。江戸に帰るまではよろしくな。私のことは総司と呼んでよろしいのと、敬語でなくても大丈夫だぞ。それと、其方の名前はなんと言うんだ?」
くしゃっと笑う総司になんだか変な気持ちになる。
「私の名前は如月杏奈(きさらぎあんな)です…。」
総司は右手を出した。
「そうか杏奈か。よろしくな!」
私は総司の右手を握った。
「はい!よろしくね、総司。」
沖田総司と同居か。
私の生活はこれからどうなっちゃうんだろう。
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