波乱万丈の巻

8/8
前へ
/30ページ
次へ
「夢じゃないみたいだな」 声がした方を振り向けば、目を覚ました沖田総司がベッドの上で呆然と天井を眺めていた。 「みたいですね」 振り返れば沖田総司がいる。 やっぱり夢じゃない。 「まぁ、そんな顔をしなさんな。私は江戸に帰るまで、この時代を楽しく生きるよ」 そんな笑顔で言われても…。 見かけによらず、すごく陽気な人だ。 と言うことは… 「へっ??ここに住むんですか?」 「うん。子供好きだし」 はぁ!? 家に住むとか、どうとかは置いておいて。 「子供って私のこと!?」 「うん」 「子供じゃないもん!」 年頃のレディーに何てことを。 「子供じゃないのか?では、其方はいくつなんだい?」 普通女性に歳を聞くか? 「14歳です…」 「ほう、もうすぐで成人ではないか。それは失礼。でも、10歳も年下ではないか」 沖田総司は24歳なんだ… えっ!? 待って、確か沖田総司は25歳の7月に死亡したって参考書に書いてあった気がする。 と言うことは一年後にはもしかしたら死んでしまうの? 「あの、私沖田さんが江戸に帰れる方法頑張って探します!」 咄嗟に言葉が出る。 沖田さんは、ははっと笑った。 「ありがとう。それと、君がここの世界に連れて行ってくれたおかげで、あまり体調が悪くないみたいだ。なるべくなら江戸に帰りたくないなぁ」 沖田は優しくそう言った。 「えっ!?」 「冗談。冗談。本気にしなさんな。江戸に帰るまではよろしくな。私のことは総司と呼んでよろしいのと、敬語でなくても大丈夫だぞ。それと、其方の名前はなんと言うんだ?」 くしゃっと笑う総司になんだか変な気持ちになる。 「私の名前は如月杏奈(きさらぎあんな)です…。」 総司は右手を出した。 「そうか杏奈か。よろしくな!」 私は総司の右手を握った。 「はい!よろしくね、総司。」 沖田総司と同居か。 私の生活はこれからどうなっちゃうんだろう。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加