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「……今日の帰り、バイト先に立ち寄ったら、急遽バイトに入ってくれって頼まれたんだ。メール送信したはずだけど… 見てないの?」
「えっ…? そうだったんですか? でも、メールは、来てなかった…です」
掴んでいる手の力が徐々に弱められていく。
「……ごめん、俺、慌ててたから、送信を押し忘れたかもしれない…」
急激にしおれ、反省の色を出して申し訳なさそうに言われると、今度はこっちの方が気が引ける。
「や、そんな、気にしないで下さい。そういう事、よくありますから!」
「……悪かったな」
「っえ…… 」
私、どれだけ単純なんだろう。
たった一言に救われ、胸にじーんときている。
「いえ、大丈夫…です」
「それに、本当は、家に帰らずにずっとここで待ってたんじゃないのか?」
「え? なんでわか…… あ、」
自ら口を滑らせてしまい、慌てて口元を塞ぐ。
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