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「あのっ、こういうのを疑心暗鬼って言うんですよねっ」
振り絞って出した最後の言葉は逆効果で、目に溜まっていた涙が頬を伝って下へのびた。
バカ、舞。ここで泣くなんて。
今更だけど、泣いた顔を見せまいとうつむいた。
先輩も、今のはさすがに気づいたと思う。
「あのっ、だけど、今ってスマホさえ持ってれば退屈しない時代ですよねっ。 ネットもできるし携帯小説だって……読めたし、」
本当は、充電切れが怖くて何もできなかったけど。
「それなりに楽しく過ごしてました……」
目があった。
先輩は相変わらず強張った表情で、彼の心が全く読みとれない。
わかっていることと言えば、ウケを狙ったはずなんだけど、外したってことぐらい。
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