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「何か予定、入ってる?」
全ての複雑な思いが完全に吹っ飛んでいった。
「いえっ、大丈夫です!」
威勢の良い魚が飛び跳ねたように言ったのだけど……
「…」
先輩は目を細めてひどく苦しそうな表情を見せた後、ふいっと顔の向きを変え、残りの帰路を歩き出した。
それを見て、また私の気持ちのメモリはしゅーんと急降下。
少し斜め横について、二人、黙ったまま歩く。
先輩がわからない。
私は先輩からの誘いが嬉しくて弾んだ声を出しただけなのに。
それなのになぜ、先輩は顔を歪ませたのか。
でも……
“どうしてですか?”と、気軽に聞ける雰囲気ではない。
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