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「あの、ここでいいです。その角を曲がってすぐですから。ここから登り道になりますし」
先輩が足を止めて私の方へ向き直った。
「じゃ、金曜に」
「はい」
「また、メールするよ。…おやすみ」
先輩は抑揚のない話し方で私に別れを告げ、
「はい、送っていただいてありがとうございました。おやすみなさい」
役目は果たしたとばかりに来た道をすたすたと歩いて行く。
「……」
先輩の背中を見て、とてつもなくわびしさがこみ上げてきた。
私は先輩の言葉の一つ一つに一喜一憂している。
だけど、先輩はそんなことはなくて。
まるで、私だけまだ片思いをしているみたいだ。
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