◇待ち人◆

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先輩の姿が見えなくなり、自分の指先を唇にあて、さっきの事故みたいな出来事について考える。 どういう気持ちでしたキスなのか、私にとってはよくわからないキスだった。 私のことが好きでした行為とは違った風に感じた。 まるで、やけになってしたみたいな…… 唇を重ねて近い存在になったはずなのに、逆にどんどん遠い存在になっている気がする。 おかしいかな、私。   こんなこと考えているなんて。 先輩が…、先輩の方から私に告白してくれたのに。 それなのに、なぜだかこんなに不安な気持ちになっているなんて。 カレカノの関係って、もっと楽しいものだと想像していたけど、実際はこんなに苦しい。 私の理想が強すぎたの? 両思いのはずなのに―――… 唇にぎゅっと力を入れ、噛み締める。 “付き合う”ってどういうことだろう? そんな単純なことを、深く、大真面目に考えてしまった。
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