◇待ち人◆

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自分の部屋へ戻るとすぐに戸を叩く音を耳にし、 「舞、今帰ったの? ねえ、開けるよ?」 返事をしないうちに強引に扉を開け入ってきた。 「お姉ちゃん…」 別に、いつものことだから怒ることもないけど。 「おかえり、随分遅かったね」 私とお姉ちゃんは年子でとても仲が良い。 「…うん、ただいま」 お互いの洋服や靴、カバン等を貸し借りしあったり、何でも話すことができる私の一番の親友であり、良き理解者だ。 本当は高校もお姉ちゃんと同じ公立の市田高校が良かったのだけど、私の志望の英文科がなかったので、青蘭女子にしたのだ。 「何か、声がしけてない? 初デートはどうだったの? もしかして何かやらかした?」 私は桜木先輩に告白されたことを、昨日、お姉ちゃんに話していて、彼女は奥手な妹の初デートはどうだったかと心配し、今、この部屋へ来ている。
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