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帰り道、先輩が積極的に私を笑わせるように努めてくれて、会話がはずんだ。
二人とも自然に笑みがこぼれ出てとても良い雰囲気になり、いつの間にか先に起こった出来事はすっかり脳裏から消えていた。
「次の日曜日、バイト休みなんだ。予定空いてる? どっか行きたいとこある?」
駅での別れ際、先輩はまた私の心をくらっとさせることを言った。
「本当ですか!?」
どうしよう、初デートだ。嬉しい。
もう……私って、本当にどうしようもなく単純……。
行きたい所はどこでもいいのだけど。でも、確かこういう時ってその答えが一番困るって聞いたことがあるし……
「え…と、じゃあ、東森動物園」
「動物園!?」
先輩の口が横に飛び出たのを見て、こちらが驚いた。
ちょうど通りすがった女学生も素っ頓狂な声を耳にし、こちらへ振り返っている。
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