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だけど、倉田舞を見てると調子が狂う。
自分の気持ちに正直で、まっすぐで……それらを直接目にすると、俺の胸は捻られたように苦しくなり、彼女とまともに目をあわせられない。
…いや、俺は、間違っていない。
「メールも今まで誰かとやりとりすることとか…そんなになかったから、まめにチェックとかしないし、書くのも苦手なんだ」
ここで今、言って突き落とそう。“メールは迷惑”だと。
「……そうだったんですか、すみません……」
だが、彼女は俺が言う言葉を察知したのか肩が下がり、頭は垂れ下がっていて……
そんな彼女を見ていると、小さな嘘がまるで大罪を犯すことのように思える。
自分の拳に力が入るのは、こうしてないと自分の心が折れそうになるからかもしれない。
俺は下唇を噛み、一瞬、ぎゅっと目を瞑った後、
「でも、ちゃんと読んでる」
淡々と述べた。
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