◇本音の告白◆

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彼女を痛めつけようとしている自分の方が逆に薄汚く卑劣な悪党に思え、すんでの所で言葉がすり替わった。 「それに、まどろっこしいの嫌いなんだ。こうやって相手に会って面と向かって話した方が数倍楽しいのに。…もったいないじゃん、それをメールですましてしまうなんて…………っ、」 ここまで話して、つい、本音が出ていた事に気づいた。 倉田舞は、驚いたように目をぱちぱちとさせ、瞬きを繰り返している。 彼女を見るたび、自分の良心が疼(ウズ)く。 悪いのは倉田舞の姉であり、彼女自身ではないことをわかっているから。 「……わたあめ、おごるよ」 結局、俺は彼女に対して悪い人間になりきれないでいる。
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