◇戻れない道◆

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一瞬、二人の間で分かり合えそうな何かが芽生えたと思った。 でも、本当に一瞬だった。 今は、わかりあえることなどないことを、悟った。 すべての事が煩わしく思える。 何もかもを捨てたい。 でも、どうすることもできなくて、もどかしい。 投げやりな心を徐々に落ち着かせて自分のすべきことを考えた。   もう、部屋に戻らないと。 直美が心配してる。 なんとか気持ちをおさめ、自分の部屋へと重い足を動かした。  ドアをそっと開け、中に足を踏み入れると、すぐ横の洗面所に誰かがいる。 どうやらちず先輩のようだ。 目が直美の姿を探したけど、見当たらない。 寝室からは誰かが啜り泣く声が漏れ聞こえて。 不思議に思いながら歩を進めた。 そして私が目にしたものは、 傷ついた心が更にこすられる光景だった。
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