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一瞬、二人の間で分かり合えそうな何かが芽生えたと思った。
でも、本当に一瞬だった。
今は、わかりあえることなどないことを、悟った。
すべての事が煩わしく思える。
何もかもを捨てたい。
でも、どうすることもできなくて、もどかしい。
投げやりな心を徐々に落ち着かせて自分のすべきことを考えた。
もう、部屋に戻らないと。
直美が心配してる。
なんとか気持ちをおさめ、自分の部屋へと重い足を動かした。
ドアをそっと開け、中に足を踏み入れると、すぐ横の洗面所に誰かがいる。
どうやらちず先輩のようだ。
目が直美の姿を探したけど、見当たらない。
寝室からは誰かが啜り泣く声が漏れ聞こえて。
不思議に思いながら歩を進めた。
そして私が目にしたものは、
傷ついた心が更にこすられる光景だった。
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