◇戻れない道◆

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最奥のベッドに桜木先輩が腰を落とし、 隣で泣きじゃくっている晶先輩を抱いている。 何も言わずに、ただ、ぎゅっと―――…抱いている。 そんな二人の後姿を見せつけられ、 私はその場に凍りついた。 薄氷がピシピシと音を立て、ひび割れて行くように、 修復不可能な自分の心をどうすればいいだろう。 私、もう、だめ。  これ以上は耐えられない。 現実に立ち向かえない。 このままここにいて、あの二人を見ていたら、きっと私は発狂してしまう。 よろけながらも何とか足を動かし、自分のカバンをそっと持ち上げて。 そして、 足を忍ばせながら305号室を後にした。
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