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最奥のベッドに桜木先輩が腰を落とし、
隣で泣きじゃくっている晶先輩を抱いている。
何も言わずに、ただ、ぎゅっと―――…抱いている。
そんな二人の後姿を見せつけられ、
私はその場に凍りついた。
薄氷がピシピシと音を立て、ひび割れて行くように、
修復不可能な自分の心をどうすればいいだろう。
私、もう、だめ。
これ以上は耐えられない。
現実に立ち向かえない。
このままここにいて、あの二人を見ていたら、きっと私は発狂してしまう。
よろけながらも何とか足を動かし、自分のカバンをそっと持ち上げて。
そして、
足を忍ばせながら305号室を後にした。
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