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ギィッ―――…
闇夜の中、鈍い音が響く。
私は教会の扉を開け、前へと進んだ。
祭壇の前に着くとカバンを下におろし、チャックを引いて“彼女”を取り出して。
そして胸に抱え、目を閉じた。
神様、私は、大きな罪を犯しました。
私の先輩への気持ちは最初から最後まで本物だったのに、それらの全てを嘘だと言ったんです。
偽って、偽りつづけて。
そして、今もまだ嘘をついています。
本当は、好きです。
好きなんです。
先輩がどうしようもなく好きで。
自ら断ち切ったはずだったのに、ずっと忘れられなかった。
嘘を重ねた私は、先輩を想う資格なんてない人間なのに。
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