◇戻れない道◆

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ギィッ―――… 闇夜の中、鈍い音が響く。 私は教会の扉を開け、前へと進んだ。 祭壇の前に着くとカバンを下におろし、チャックを引いて“彼女”を取り出して。  そして胸に抱え、目を閉じた。 神様、私は、大きな罪を犯しました。 私の先輩への気持ちは最初から最後まで本物だったのに、それらの全てを嘘だと言ったんです。 偽って、偽りつづけて。  そして、今もまだ嘘をついています。  本当は、好きです。  好きなんです。 先輩がどうしようもなく好きで。  自ら断ち切ったはずだったのに、ずっと忘れられなかった。 嘘を重ねた私は、先輩を想う資格なんてない人間なのに。
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