◆届かぬ思い◇

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『おい、落ち着けよ。直美に電話してお前のとこに行かせる。今どこにいるんだ?』 香田の提案で我に返り、何とか口を開けた。 『……1階の…ロビーだ…』 『わかった、そこで待ってろ』 『ああ、頼む』 電話を切った後、携帯を握りしめ、その場に立ちつくした。 なぜだ?  どうして舞はここから姿を消したんだ…? しばらく後、さっき宴会場で舞の隣に座っていた子が俺の方へ猛突進してくるのが見え、 「桜木先輩…!」 俺はソファから立ち上がった。彼女が直美さんだな。 「ごめんなさい、私、てっきり舞は先輩と帰ったものだと…」 お互いほぼ初対面なのに、挨拶云々はすっ飛ばしていきなり本題に入った。 
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