第1章

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「マジで!!いいの!!まだ俺作ったの食べてないうちに…そんなこと言わない方がいいんじゃね?…」 「平気ですよ。佐伯さんの料理絶対うまいです。見れば分かりますから。」 「いや…見た目良くても…」 「見た目で言ってません。なんてゆーか、料理から出てるんです。佐伯の一生懸命が。だから絶対うまいんです。」 泣きそうになった。 普段あんなクールで絶対!!そうゆうことは言わなそうな長谷川くんが、今まで大した会話も重ねてきてない俺にこんな風に言ってくれた。 もうこれで一生分の幸せがまとめて今来ちゃったんじゃないかって心配になるぐらい嬉しくて… これじゃ…長谷川くんもっと好きになっちゃいますよ? 「な、何か…照れるな!!ありがとう。じゃぁ…食いますか!!」 「はい、いただきます!!」 (神様!!どーか!!さっきもありがたかったのですが…もうちょっとサービスして下さい!!長谷川くんからおいしいが聞きたいんですッッ!!) 「ど、どぉっすか?」 「…」 (あ、えぇっ!?もしかして…もしかして…俺やっちゃいました!?) 「あ、あのぉ…美味しくない…か?」 「あっっ!!ごめんなさい!!俺…感動しちゃって…」 そう言った長谷川くんは涙ぐみながら鼻をすすって俺の作った飯を黙々と口に運んだ。 (食べてくれてるし…不味いんではないよな?しかも感動って…?) 「佐伯さんッッ!!俺!!こんなうまい飯久々っす!!」 「えっ、本当!?はぁ…良かった!!口に合わないかと思った。」 「そんな!!全然!!だって俺言ったじゃないですか。絶対!!うまいって!!」 嬉しくて…嬉しくて…俺は泣きそうなのを必死に堪えた。 「ごちそうさまでした。」 長谷川くんは米粒一粒すら残さず綺麗に俺の弁当をたいらげてくれた。 何かもう…始めて彼にお弁当作った女子の気持ちが俺…今なら分かる!! 今まで… 色々と頑張ってくれた歴代彼女達よ… すまんッッ!!本当にすまん… こんな気持ちだったんだなぁ…
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