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ボナンザはママンに抱きかかえられて公園に向かった。
その後姿を見ながら、ジイは呟く。
「くそぅ、ボブスレーめ……」
痴呆が始まっているので、ボナンザという名前が覚えられないジイだった。
公園についたボナンザはママンとベンチに座っていた。
虹の出ている空を見上げながら、ママンは呟く。
「ジイのことも苦しいかもしれないけど、好きになってあげてね、ボナンザ。
彼は臭いけど、根は真面目なクソジジイアルよ」
「ワン」
≪心≫『このオバハン、所々毒舌が混じってるなぁ。ジジイを褒めてんのかバカにしてんのかわからん。
とりあえず、今日みたいにチトセが居ない日でも、簡単に脱走するのは難しそうやな。
ママンもなかなか手ごわいってことも分かったし、今日はとりあえず家に帰るか』
雲の隙間から差す穏やかな日差しが、ママンとボナンザを照らしていた。
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