最終話

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Side 桜木智 ザァ――――――… 耳をつんざくような雨音だ。 「ひどい降りだな」 ワイパーが何の意味も成しえてないように思える。 「そうですね……」 一寸先が見えない車の外の様子を見て舞が不安げに答えた。  それにしても、バケツをひっくり返したような雨で、しかもその雨足はどんどんひどくなる一方だ。 俺はラジオをFMからAMに切り替え、NHKにした。 『梅雨前線が停滞し、暖かく湿った空気が流れこんでいることから大気の状態が非常に不安定になっています。 100年に一度の大豪雨になる事が予測され、引き続き、道路の冠水や土砂崩れ、河川の氾濫に対する警戒が必要です……』 俺と舞は互いに顔を見合わせた。
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