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男子達の熱気が凄まじい中、自分はただただ呆然とするしかありません。彼女にこれだけの力があったとは。伊達に人気投票で一位は取ってないってことですね。
「うわー、やっぱり四大美女は違うなー」
んん? 四大美女? 後ろから気になるワードがふと耳を通過していきました。
「四大美女?」
「ええ? お兄ちゃんもしかして四大美女も知らないの?」
なんすかその言い方。そういう括りとかあんまり聞いたこと無いですし。
「はぁ、本当身の回りのこと以外に無頓着なんだから…………四大美女って言うのは、この学園にたまたま集まった四人の超美少女のこと! この学園はなかなか女子のレベルが高いみたいだけど、その中でも特に群を抜いて目立つ美少女達で、その人気は超スゴいんだから!」
人のことをあたかも自分のことのように目を輝かせて話す妹ですが、「この学園はなかなか女子のレベルが高い……!」とか言ってて恥ずかしくないんすか?
「その中でも学園人気投票で一位に輝き、校内外から異常な人気に支えられているのがあの綺菜さんなんだよ」
「へー」
そんな凄い人なんですね。そんな人に喧嘩売られてる自覚が無いのですが。
壇上を見ます。まだ回りは熱気に溢れていますが、壇上の彼女はしてやったりといった顔をしていて、その性悪さが伺えます。なんたる腹黒さ……!
そんなことを思って見ていると、ふと彼女がこっちに視線を向けた気がしました。しかしその疑念は確信へと変わり、彼女はじっと壇上からこっちを見つめています。その表情はまるで勝ち誇ったかのようにニヤリと笑っていました。
綺麗な人がニヤリと笑うと魔女にしか見せません。
「絶対に負けないんだから……」
突然真剣な目になって、彼女がなにか呟いたような気がしました。しかしそんな事などもちろん聞き取れる訳もなく、自分はただ相も変わらず騒ぐ男子と壇上の彼女にこの学園の末期を悟るだけしか出来ません。
この学園の人達、頭大丈夫ですか……?
後々自分もこの学園で唯一無二の青春を謳歌することになるなど露知らず、自分はそんなことを思うのでした。
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