第3章 来たれ体育祭

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「あはは! 山田君、君なかなか面白いね!」 沢村さんが爆笑してます。この人アンジャッシュのファンなんですね? 自分は芸人ならバナナマンとかが好きですが。 「にしても凄い美少年だね君? 興味深いのだよ。下の名前はなんて言うの?」 あれ、なんかこの展開デジャヴュ。 「真廣です」 「へー、女の子みたいだね!」 ぐはっ! 不意打ちにコンプレックスを! 「それで? どうして山田くんは学校と反対方向に走っているの?」 「ああ、えっと、一応今体育祭の練習してて、それでここら辺を走ってるんです」 そうだ、ちゃんとコンビニまでは行かないと椎名さんに怒られちゃいますね。 個性的な人ですけど、もうこの子と関わることもないでしょう。ここは先を急ぎますか。 「それじゃあ、自分はまだ練習の途中ですんでこれで」 「あー、そっか。引き止めて悪かったのだよ。練習頑張ってね」 まさに女の子みたいな可愛らしい声をしているのに、喋り方とのギャップが面白いっすね。 レベル的には綺菜さんや椎名さんと良い勝負。妹の言うとおり、確かにこの学園は可愛い子が揃ってるみたいですね。 そんなことを考えながら、再び自分は走り出して、背後の彼女から遠ざかるように進んで行きます。 気づかぬうちに終わっていた曲を掛けようと、ジャージのポケットの中のウォークマンを取り出し、再生ボタンを押そうとした その時でした。 「ええぇぇぇぇ!!??」 後方からなぜか沢村さんの叫びが聞こえてきました。どうしたんすかね、とりあえず反射的に振り返っちゃいました。 「ちょっと待てちょっと待てお兄さん!」 なんかざわざわとするようなセリフと共に、沢村さんが立ち止まった自分の方に猛スピードで近づいてきます。あれ、まだなんか用かな? 「や、山田君、待って待って!」 驚いた様に、目の前まで沢村さんが駆け寄って来ました。 「? どうしたんですか?」 「ど、どうしたもなにも、ずるいのだよ! さらっと言うから危うく気づかないところだったじゃん! 君が山田真廣君だって!」 ん? これは通訳の人が必要な案件ですか? さらっとというか、普通に自己紹介したんですけど……。 「え、ええ。自分は山田真廣ですが、それがなにか……」 「なにかじゃないのだよ! 君は山田真廣君なのだよ!」 なにこのアンジャッシュのネタみたいな状況。
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