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「なにゆえ!!??」
突然の非日常じみたセリフにびっくらこきました。急にコンバットな展開なんて自分は嫌です。
「体育祭よ! 体育祭でどっちの人気がより高いのか決着を着けるわよ!」
どう考えても学園人気投票一位の人に勝てるわけありませんでした本当にありがとうございます。
ズルくないですか!? あんだけ自分の人気を鼻に掛けておいて、今度はそれをある種の暴力として振りかざそうとしてきてるんですよ?
「お断りんこ☆」て言ってやりましょう。
「お断r」
「ちなみに勝ったほうは相手になんでも一つだけ命令出来るっていう特別ルール付きね」
…………。
……これ迷うべき要素なんですかね?
「ちなみに拒否権はありませんから。じゃあとりあえず体育祭について中で話し合いましょう」
そんな言葉と一緒に室内に誘導されました。まあ普通に誘導に乗ってドアを潜らさせて頂きますけれど、なぜこんなにもこの学園は拒否権が無いのでしょうか。
そんな若干の疑問を抱いたまま、自分は彼女と体育祭についての話し合いを辺りが暗くなる頃まで続けました。
そもそも代表生徒というのは、この学園の生徒たちの勉学や部活の発展の為に日夜その身と時間を削る教師陣を助けるべく、まさに生徒の手も借りたい状態を脱する為に生まれたものでありまして、それを実感するかのように代表生徒初日からその忙しさに疲れ果ててしまいました。
対して彼女はどうでしょう。なぜか時間が経つにつれ生き生きと意見を述べるようになっていくのです。その反比例さに余計体が疲れました。きっと根本的に彼女はこういう職に向いていて自分は他方であるということですかね。
しかも話し合いの途中でぼそっと「絶対勝って私のこと可愛いって言わせてやるんだから……」と言っていました。正直可愛いとはもう既に思っていますが、そこはお口にチャックで。
そんなこんなで彼女と自分は下校することになりました。暗い夜道を一人で帰らせるのにやや罪悪感も感じていましたが、高級リムジンが校門まで彼女を迎えに来ていたのを目にした時、世の中の不平等さに思わず涙が出ました。
自分は一人、暗い道にその疲れた体を溶け込ませて行きました。
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