第2章 青春の宣戦布告

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一瞬かなり動揺したものの、今では落ち着いている自分がいます。そうです、逃げればいいんです。世の中逃げるが勝ちです。 「ちなみにもう一人の代表生徒である山田くんは、普通に生徒会チームとして出場しまーす!!」 はぁぁぁぁぁぁあああああんんん!? 完全に逃げ道を塞ぎやがりましたね!? ああ、どうしたものでしょうか。落ち着いて考えると命令の一つや二つぐらい負けて聞いてあげてもいいんですが、それすら嫌な予感がします。 「ねえ、山田くんてお兄ちゃんのこと?」 「ちゃうで」 ああキャラぶれっぶれです。しかもさりげなく嘘ついてしまいました。もうなんのこっちゃ! 「皆さん、障害物リレーはクラス対抗競技ではなく唯一の部活や同好会で戦う競技です。運動部に所属している人達なんかはそっちで出場する予定があるかもしれませんが、もし、もしも私と一緒に出場してくれたら……」 そこで一旦区切ります。躊躇いがちに、どこか恥ずかしそうな様子で彼女はマイクに口を近づけました。その乙女チックな所作に男子が釘付けになっています。まさに魔性。 「す、すごく………嬉しい、かな……なんて////」 ほわーん? 自分の反応とは真反対に、男子達の声が体育館に響きました。 「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」 「え!? え!? ちょっと何事!?」 後ろの妹の騒ぎ声すら掻き消すように、野郎共のラブコールが次から次へと響きます。以下グロ注意です。 「俺はやるぞぉぉ!! 俺は綺菜さんの為に野球部を断って生徒会を潰すぞぉぉぉぉ!!」 「俺だって陸上部を断って、俺の俊足を全て綺菜さんに捧げてやる!!!!」 「綺菜さん! ぜひ僕を! ぜひこの水泳で鍛えた体をその掌で転がして下さい!!」 「いやマジサッカー部のスピードスターである俺が参加するしかないっしょ!!」 「拙者もやるでござるよ」 「絶対役にはたたないが僕のオタク研究会で蓄えた知識も全てあなたの為に!!」 だぁぁぁぁぁれですかこいつらをこんなんになるまで放っておいたのは!?!? この案件で臨時集会開いたほうがまだ良いですよ!!?? それと途中侍もどき居ただろ誰ですか! もうこれ以上は突っ込みたくありません……疲れました。これ以上は散らかってももう自分の知ったところではないです……。
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