少年

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『雪耶』 「んー?」 雪耶と呼ばれた少年はギュッと抱きつく 「どないしたん?」 『…』 雪耶を見つめる瞳は不安げに揺れている 「雪…安心しとき、俺が居るさかい」 『ずっと…このままで…』 「そんなん決まってるやん」 雪はふわりと笑うとスゥと眠りにつく 『…せ、つか』 「起きたん? おはようさん」 雪の頭を優しく撫で、カーテンを開ける 「朝ご飯、リゾットで"ギュッ…"どないしたん?」 弱々しくだがしっかり背中に抱きつかれた雪耶 『…もう少しこのままで』 「…あかんよ」 そう言うと背中を掴む雪の手を放し正面から抱き締める 『雪耶…』 正面から抱き締められる雪は固まる 「雪は頼ってええんよ」 『…でも』 「今は誰も居らへんから」 『ん…』 雪耶がそう言うと身体の力を抜き甘えるように背中まで手を回す 「雪」 『…なぁに』 「逃げてまおうか」 『ぇ?』 雪はポツリと呟いた雪耶を見上げる 「雪の苦しむとこみとおないねん…」 『…ありがとう』 「俺は本気やで…」 『僕は幸せになったらいけない …分かってるだろ、雪耶』 幾分高い雪耶の頭を撫でる 「…や なんでやっ」 『ごめん… 僕が忌み子だから「忌み子、忌み子…って」…』 「雪は悪ないやん!…雪はなんもしとらん …ただのアルビノやんか」 『…それはいったらいけないよ』 力をこめ抱き締める雪耶を軽く咎める
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